コラム
Column
Column
2024.03.26
これから建物のリノベーションや、建て替えを検討している方にとっては、内装解体とスケルトン解体、どちらにするかは重要な選択肢になります。どちらを選ぶべきか迷っている方も多いことでしょう。
特に、スケルトン解体に関してはそのメリットが知られていないこともあります。
そこで、この記事では、スケルトン解体に焦点を当て、その魅力とメリットについて解説をします。
また、スケルトン解体にはデメリットもありますので、デメリットも考慮したうえで、総合的に判断できるように説明をします。
スケルトン解体を検討している方々の疑問や悩みに対して、明確な情報を提供し、納得のいく選択ができるように分かりやすく解説しています。
建築の未来を考える上で、欠かせないポイントを押さえておりますので、どうぞ参考にしてみて下さい。
内装解体とスケルトン解体は、建築物の解体工事において、重要な役割を果たす二つの異なる手法になります。
それぞれの特徴や適用範囲を理解することは、建物の建替えやリフォームの成功に向けて重要となります。
スケルトン解体は、建物の構造を維持しながら内装を撤去する作業方法です。
この手法では、柱や梁などの建物の骨組みは残されますが、電気や水道などの設備は一掃されて、建物内部は完全に空になります。
通常の解体作業とは異なり、構造体がそのまま残るため、建物の基本的な骨格が維持されるのが特徴です。
主に鉄筋コンクリート造の建物で行われ、コンクリートは打ちっぱなし状態となります。
これにより、建物の外観や基本構造を維持しつつ、新たな用途やデザインに合わせて再建することが可能となります。
また、店舗やオフィスの「原状回復」が必要な場合もスケルトン解体が採用されることがあります。
スケルトン解体が選択される状況は多岐にわたり、特に飲食店やコンビニ、オフィスなども挙げられます。
事業者の要望に応じて原状回復が必要な場合や、リノベーションの需要が高まる中で、住宅や一般の建物でもスケルトン解体が選択され、内装の刷新が行われる傾向が見られます。
内装解体は、建物の改装や再利用において、特定の部分を残しつつ壁や天井、設備などを撤去する工程を指します。
通常の解体工事と比較して、コストが抑えられる上、作業が比較的簡単で迅速に完了する特長があります。
最短で2~3日で工事が終わり、これによりプロジェクトのスケジュールを効果的に管理できます。
悪天候にも強く、予定通りに進捗できる利点もメリットです。
内装解体は主に飲食店や店舗の改装、居抜き物件としての再販、またはリフォームプロジェクトで活用されます。
壁や天井、設備の一部を保持できるため、オーナーとの契約に基づいた原状回復が容易に行えます。
床や壁以外の部分を残しつつ撤去する柔軟性は、物件の再活用や改装計画において適切な解決策となります。
内装解体は迅速で効率的な手法として、建築プロジェクトにおいて広く活用されています。
建物の用途やプロジェクトの要件によって、内装解体かスケルトン解体かを選択することが重要になります。
それぞれの工法の特徴を理解し、適切な解体プランを立てることで、効率的な工事が実現されます。
スケルトン解体を選ぶ際のメリットには、以下の3つが挙げられます。
スケルトン解体は、通常の解体工事に比べて費用が抑えられる特長があります。
これは、建物の基盤である梁や床、屋根などを解体対象外とするため、作業負荷が低減されるからです。
同時に、一般的な解体工事に比べて廃棄物が少なくなるため、処理費用も削減できる点が、経済的な魅力となります。
既存の建物を再利用したい場合は、通常の解体より、スケルトン解体がコスト面で有益であることを考慮する必要があるのです。
スケルトン解体では、建物を構成する壁を一旦撤去するため、内部を完全に空っぽにできます。
この状態であれば、自由度の高い間取り変更が可能です。
例えば、3DKの部屋を大きなリビングを備えた2LDKに変更したり、異なるサイズの3DKに変更したりすることが容易です。
同様に、店舗やオフィス物件でもスケルトン解体により、空間の広さや部屋数を柔軟に変更できるため、利用シーンに合わせた最適な構造に再構築できます。
スケルトン解体後は、基盤以外の建物構造が撤去された状態となります。
この段階では何もないため、配管や配線の交換、防音性の向上など、利便性を高める工事が容易になります。
また、耐震性に不安がある場合は、柱や屋根に対して耐震工事を施すことも可能です。
スケルトン解体は、リーズナブルな費用で、柔軟な内装変更や利便性向上を実現できるため、建築プロジェクトにおいて有益な手法と言えます。
スケルトン解体にはデメリットが潜んでいます。デメリットを把握せずに工事を進めると、後々損をする可能性があるため、事前に知っておくことが重要です。
スケルトン工事では柱や屋根、梁などを再利用するため、古い建物の内部の腐食などに対処できません。
柱や屋根、梁などが劣化している可能性があるのです。補強工事や補修を行えば老朽化を抑えられますが、その追加費用には留意が必要です。
特に劣化が著しい建物では、スケルトンリフォーム時に耐震補強費用が発生することもあります。耐震補強の相場は約20,000円〜60,000円/㎡であり、大きな負担になります。
スケルトン解体では、壁や床、設備配線などを撤去し、新たに設備を導入するため、初期費用が発生します。
スケルトンリフォームでは、解体費用・耐震補強費用・初期費用が重なり、総合的なコストが高くなる可能性があります。
特に資金が限られている場合は、スケルトン解体からの環境構築はハードルが高いかもしれません。
一部の内装解体や居抜き物件を利用したリフォームの方が、経済的な負担は抑えられるでしょう。総合的な判断が求められます。専門家のアドバイスが必要となります。
構造物の基礎の部分を残して内装のみを解体するため、建物の外観を大きく変更することは難しいです。
外壁や屋根の素材を変更する場合は追加費用がかかります。外観の変更を望む場合は他の解体方法も検討することをおすすめします。
スケルトン解体にかかる費用は、建物の種類や規模によって大きく異なります。
特にマンションや店舗、住宅、アパート・マンションなどの用途によっても価格は変動します。
以下に、スケルトン解体の費用相場について詳しく紹介します。
一般的なスケルトン解体工事の相場は、坪当たり3万円〜5万円と言われています。
ただし、飲食店などに設備が多い場合は、撤去が必要で費用が高くなる傾向があります。
そのため、事前に設備の撤去が必要かどうかを確認し、予算を考慮することが重要です。
マンションのスケルトン解体の相場は、坪単価で1.5万円~4万円が目安です。
たとえば、単身用のマンション(約10畳、約18㎡)をスケルトンに戻すなら約30万円~70万円、子育て世帯向けのマンション(約20畳、約36㎡)であれば約50万円~140万円ほどかかります。
部屋の階数やエレベーターの有無によって、廃棄物の搬出がしやすいかどうかで費用が変動します。
また、コンクリートの躯体を削る場合は、マンション管理組合の同意が必要となることがあります。
これらの金額は建物の解体にかかる一般的な費用を示しています。
ただし、具体的な現場によってはこれらの金額からの変動があるため、複数の見積もりを比較し、信頼できる解体業者を選ぶことが大切です。
スケルトン解体費用を抑える方法について知っておくと、解体作業を経済的かつスムーズに進めることができます。
以下は、スケルトン解体を安くするためのアドバイスです。
契約書にスケルトン解体が記載されていても、他の解体方法が適用可能かどうか交渉してみましょう。
解体方法によって費用が異なるため、交渉は有益です。
また、まだ使用可能な設備や家具がある場合は、交渉で撤去費用を削減できるかもしれません。
ビルの場合、指定解体業者が決まっていることがあります。
契約書を確認し、指定業者がない場合は他の業者を選ぶ余地があります。指定業者がいる場合でも、交渉を通じて費用削減を目指しましょう。
スケルトン解体工事を行う場合、複数の業者に見積もりを依頼することが重要です。
1社だけに見積もりを依頼すると、適正価格の判断が難しくなります。複数の業者から見積もりを取り、最も経済的な選択肢を選びましょう。
解体工事の際、家具や什器の廃棄処分はできるだけ自分たちで行いましょう。
自分たちで処分することで、解体費用を節約できます。
また、まだ使用可能なものはリサイクルショップや中古品買取業者に売却することで、追加の収入を得ることも可能です。
スケルトン解体では、慎重な注意が必要となります。騒音やほこりが発生するため、工事前には近隣の住民に挨拶し、協力を仰ぐことが大切です。
通常の解体工事とは異なり、必要な構造物を残すため、繊細な工程が求められます。
業者の選定においては、スケルトン解体の実績を確認することが重要です。
行政処分の経歴や廃棄物の処理証明の提出なども確認し、信頼性を確保しましょう。
壁や床、配線の撤去により、新たな設置に初期費用がかかる点も注意が必要です。
建物の解体に伴い、構造部分がはっきりと見えるため、老朽化や故障の箇所が判明することもあります。
これらの修復や交換作業には追加の費用がかかる可能性があります。
賃貸物件の場合は契約書の変更が生じ、注意深く取り組む必要があります。
スケルトン解体を行う際には、ライフラインの停止は慎重に行い、残置物の処分や不明点は業者に確認することが安全確保のカギです。
また、養生シートと足場の設置、天井の高い店舗では足場の事前設置が必要となります。
トラブル防止のため、慎重な計画と実施が求められます。
スケルトン解体と内装解体、どちらが建物のリノベーションや建て替えに適しているかを比較すると、スケルトン解体は建物の構造が明確になり将来のリノベーションに適しているメリットがあります。
ただし、騒音やほこりの発生、近隣住民とのコミュニケーションが求められるなどのデメリットも存在します。
初期費用や補修費用も検討すべきポイントであり、慎重な計画が必要です。
スケルトン解体を検討する際には、ライフライン停止、残置物処理、足場設置などの細かな作業も考慮する必要があります。
これらのポイントを十分に吟味し、トータルの判断が求められます。
建築の未来を考える上で、スケルトン解体の注意点を参考にしながら計画を進めていくことが重要です。
慎重な検討と、専門的なアドバイスを得ることで、最適な選択を見つけ出し、建築の未来に向けて着実な一歩を踏み出すことが出来るでしょう。
なお、内装解体においては、信頼性のある内装業者にお任せすることが賢明です。
専門家のアドバイスを受けつつ、プロの手に任せることで、スムーズで確かなリノベーションが実現できます。
お気軽にご相談ください